Luck TesT

『指紋が拭きとられたりしたわけでもない』

「俺が外したのはほんの数分だ、証拠を消す時間はなかったはずだ。なにより、難波達のものは残って言ってたじゃないか」

『あぁ。だから変なんだよ。第三者の存在が、まったく確認できないっていうのがな』

赤信号で止まる。
富永の言葉の意味を考えてみる。

『発見されたストレッチャーには、本郷葵のものと思われる毛髪が見つかった。で、そのストレッチャーからは、難波と緒方少年の指紋も見つかった』

「…脅されて、二人が本郷を運んだとは考えられないか?」

信号が青に変わり、車を発進させる。

『それも考えてみた。だが、それにしても痕跡がなさすぎる。それに、脅されたにしてはいなくなるまでの時間が短すぎないか?』

普通ならば、毛髪なり、繊維片なり、何かしら見つかるはずだと、富永は言う。

『…この場合、難波と緒方少年が共謀して、本郷葵を連れ去ったと考えると、証拠が彼ら以外の存在を示さないって結果にも納得がいく。とりあえず、病院の監視カメラに何か映ってないかを調べるから、また進捗があれば連絡する』

富永の言葉に、布施は何も返事をせず、そのまま通話を切った。