Luck TesT

「た、助けて!誰か、助けてー!」

大声をあげてみる。
と、難波は笑ったまま、でも足早に近づいてきて、バシン!と頬を叩いた。

「駄目じゃないか。そんな大声出したら」

叩かれたときに、口の中を切ったみたいで、鉄の味が充満する。

「ま、とはいえ、誰かに聞こえるはずもないんだけどね」

そういうと、髪の毛をつかみ、グイっと頭を後ろにひぱってきた。

「っつ!」

痛みに思わず顔をしかめる。
その表情を見て、難波は満足したのか、ぱっとつかんでいた手を離した。

「馬鹿な真似、しちゃだめだよー?ま、とりあえず、動けないんだし、そこでおとなしくしててね」

そういうと、難波はにっこりと笑ってつかつかとドアの方へと歩いて行く。

「どこに行くの…?」

恐る恐る聞いてみる。

「うん?とりあえず、5億の様子を確認しに、ね」

そう言って、ドアのカギを開けると、難波はそのまま教室を出て行った。