Luck TesT

しばらく、沈黙が流れた。
聞こえてくるのは、虫の鳴く声と、葵の小さな寝息だけだった。

「…緒方くん、これ、飲むかい?」

そう言って、難波は一本のペットボトルに入った水を差しだしてきた。

「あ…すいません」

「飲みかけで悪いけどね」

苦笑いを浮かべる難波に、俺も笑った。

「ちょうど、喉乾いてたんで、ありがたいです」

そういって、水を一口含んだ。

「まだ、明け方まで時間もあるし、少し眠ってたらどうだい?」

難波に言われて、首を横に振った。

「いえ。そういうわけには。それより、難波さんこそ寝てください」

その言葉に、難波は笑った。

「何言ってるの。君たち市民を護ることが、警官の仕事だからね」

難波に言われて、俺はまた、小さく笑った。