Luck TesT

祈るようにつぶやいたその時だった。
ガラガラっとあいた扉から、難波が少しあわてた様子で部屋の中に入ってきた。

「…?どうかしたんですか?」

聞かれて、難波は少し戸惑った表情を見せた。

「いや…別に……」

そう言う難波の顔は、明らかに別にという表情ではなかった。

「何かあったんですか?」

命を狙われている。
普段なら別になんてことないことでも、スルーすることなんて今はできない。

「難波さん?」

立ち上がり、難波のそばへと駆け寄る。
難波の目をじっと見つめて、もう一度聞く。

「何か、あったんですか?」

聞かれて、難波は戸惑ったように、小さく呟いた。

「…布施さん、が、もしかしたら…」

その言葉に、頭が真っ白になった。

「何、言って…」

自分と葵を助けてくれていた。
少なくとも、俺はそう思っていた。

「さっき、廊下で…布施さんが、公衆電話で誰かと話してたんだけど…」

難波の言葉に、俺は思わず頭をふった。