Luck TesT

「私が見回りの際に、気がつきまして。それで、ちょっと手の空いている先生方に一緒に手伝ってもらおうと」

少し小太りの男が言う。

「…ここにはやはり居ないようですし、これからまた、診察がありますので。我々はこれで」

そう言って動こうとした時だった。

「…勝手に動かないで頂けますかね」

ドスのきいた声で、入口に立ちはだかる。

「何の真似ですか?」

メガネの男が、眉をひそめながら聞いてくる。

「あなた方が、本当にここの職員か。確かめさせてもらう」

そう言って、ポケットからメモとペンを取り出し、携帯で難波に連絡を入れる。

「お名前と担当を」

短く言うと、メガネの男はニッと笑って口を開いた。