ガリ勉くんに愛の手を

いつもの駅の前。

かぶっていたヘルメットを佐奈に返した。

「今日はありがとうございました。
ちょっと怖かったけど気持ち良かったです。」

「変な事、せえへんかったらもっと楽しましたろうと思ったのに。」

???

(そうだ!)

僕はカバンの中に入っていた小さな袋を佐奈に手渡した。

「あの、これ大した物じゃないんですが今日のお礼に…」

「何これ? お守り?…合格祈願?!」

呆れた顔の佐奈。

「あのね、うちは受験生やないねん。
こんなお守りもらってどうすんの?!」

僕は頭をかいた。

「あんたは大学に合格したらええけどうちには必要ないし。」

「そんな事ないです。」

ちょっと考えて…

「佐奈さんは介護士の資格を取るために持っていてください。
必ず、合格しますように。」

佐奈は素直に喜べず、
「くれるんやったら厄除けにもらっておくわ。」

照れくさそうに、そう答えた。

「それじゃ…」

僕は軽く手を振って駅の改札へと走って行った。

(やっぱり、アイツ変わってるわ~。)

僕の後ろ姿を見ながら佐奈はそうつぶやいていた。