「あたしにも…好きな人がいるの。」
 
「えっ…?」
 
啓一の不安そうな声。
 
あたしは続ける。
 
「その人は、バスケ部で、バスケしてる姿がすごいかっこよくて、自然と目で追ってしまう人。」
 
ひたすら黙っている啓一。
 
あたしは構わず続ける。
 
「だけど、不器用で、恥ずかしがりやで、鈍感で…ずっと側に居たのに…あたしの気持ちにも気付かない奴。」
 
啓一があたしを見る。
 
「それって…」
 
「そして…今、目の前にいる。」