昼休みは図書室へ 【完】

坂下くんは、松村くんの腕を引っ張って、廊下に出してしまった。



「……ごめん、橘の目の前で…」


「ううん…」


泣いて腫れた顔を見られたくなくて、思わず顔を背けてしまう。



「橘。うれしかった、さっきは」


「だって…付き合ってるから」


「付き合ってるから…あ、そうだよな!俺、彼氏だし?」


「うん…」


うまく返事ができてるかな…


今日は、誰とも話をしたくない気分になったかも…


そんな気分を吹っ飛ばせたのは、坂下くんが言ったこと。



「なんで橘を好きになったか。分かる?」

「え?」


「いつも図書室で勉強してるのが見えたんだ…頑張ってんなーと思って」


「そうなんだ」


「学校がとんでもなく嫌になってた時、また図書室で橘が勉強してて。橘は頑張ってる時にいじけてた俺が恥ずかしくて。きづいたら…好きになった。ああ、なんか自分が恥ずかしすぎる!!」


勉強してた姿を見て、か。

なんか、連鎖してる?

私は松村くんを見てて、その私を坂下くんが見てて…


「助けられてた、みたいな」

「うん。私も…」

「橘も?」

「あ、いや、別にっ」