「それだけ?他に結斗からなんかされてない?」


「さ…!されてないよ…」
「おい。大陽、お前さっきからなんなんだよ。俺を変態みたいにいいやがって」

「心配しただけだけど。俺は、橘の彼氏だから」



ちょっと待って。
坂下くん…それ、今言わなくても…しかも、松村くんに…。


「ホント?橘…」


悲しそうな松村くんの目。


どうして悲しそうな目をするの?

あなたには花音さんがいるじゃん。


また、私の勘違いかな。



きっとそうだよ。


「そう…なんだ。坂下くん…と付き合ってる」


言うのが苦しかった。



「好きなの?大陽のこと」


え…


嘘を、松村くんの前で言えばいいの?



『好きです』って…言えばいいの?



「止めろよ結斗。橘、病人なんだぞ!混乱してんじゃん」



「大陽はだまってろよ。答えて、橘」


「おい…!!結斗」



「私は…私が…好きなのは…坂下くんだよ…」



……こんなこと、言えないはずなのに。


言ってしまうなんて…。



「どうして泣くの?」


「泣いてなんか…」

本当だ。涙がでてる。



「いい加減にしろよ」