それとも…人生で初の彼氏が出来たせい…?



彼氏って…言えるのかな。好きって気持ちが、正直いって、ない。


「最低…私…さいて…」



そのまま意識を失ってしまった。




「ん…」


見えたのは。
真っ白い天井と。
黒い髪の男の子。

「目…覚めた…?大丈夫!?廊下で倒れてたんだ、橘」


はじめは、寝ぼけて顔がわかんなかった。


でも声で分かる。



「松村くん…助けてくれたの?」


「助けたっつうか、運んだ?熱、計ってだって。保健室の先生が」


渡されたのは、体温計。



うぅ…松村くんの前でブラウスのボタンを開けんの恥ずかし…!!


松村くんに少し背を向けて、体温計を脇にはさめた。


「……ありがとう」

気まずくなるのが嫌で、やっとの思いで言えた一言。


「どういたしまして」


斜め後ろから聞こえた声が、頭の中でエコーがかったみたいにリピートされる。


カシャッ…


いきなり開いたカーテンの側に、坂下くん。


「大丈夫か!?橘…なんで松村いんの?」


「あ…松村くんは、私をここまで運んでくれたの」