「あはは、呂律まわってないよ。ごめん、びっくりさせて」


「ううん…私、はじめて…告白されたから…」



……こういう時、
神様はいじわるだ。


坂下くんの声じゃない、低くハスキーな声。



「大陽…と橘…?」

「……松村く…」
「結斗…今告白中なんだから、ジャマすんなよ」


一瞬、松村くんの目が大きく開いたような気がした。


「あ…悪ぃ。じゃ」


私達に背をむけて、歩きだす松村くん。


どうしよ!坂下くんと付き合うって勘違いされる!!


ますます距離が遠くなる…!!



――私が誰と付き合おうが松村くんには関係ないか。

「ごめん、坂下くん」

「え…」


「私は、好きな人がいるの。入学式で出会ったんだけど。多分、一生片思い。それでもいいんだ…」


好きでもないのに付き合うなんて失礼なこと、私にはできない。


「そっか…
ちなみに、橘の好きな人って…まさかの結斗?」


「な…なんで?」


「なんかさっき結斗が通った時、顔が真っ赤だったけど」


「そんなわけないよ〜。松村くんには彼女がいるんだし」


「…彼女?アイツに?」

「うん…」


なんで疑問文?
坂下くん、知らなかったとか?