松村くんが、ドアにさしかかった時、私は自然に足が動いた。



「え、何?」

「え?あっあの…あ、ごめんなさい!」


馬鹿だ、わたしは…


走って、松村くんの服の裾を引っ張るなんて。


話しかけないって、決めたのに。


「もしかして、アンタ、いつも図書室に来る人?」


え…
私がいつも図書室に行ってるのを、知ってるの?


「そ、そうです…。あの、どうして最近、その…」


言葉が口からだせない。