手が赤い。血だ。うん、血だな。あの男が持っていたひんやりするものが、鋭利ななにかだったというのが今わかった。 「俺、今更ながらに血の気が・・・。あぁ」 うなだれる俺の姿を見て、翔梧は肩をポンポンとした。 「よくやったよ。俺はびっくりした」 俺も自分でびっくりしたさ。あんなこと、なんでしたんだろう。 「保健室行こう。ゆっくり休もうぜ」 後半部分を翔梧は俺の耳元でこそっと囁いた。 午後の授業はもう始まっていた。