俺が竜ヶ崎の存在を知ったのは、一年生の時。入学式でのことだった。

 入学式が体育館で始まり、誰かの話の途中、黒髪が並ぶ列の中に一人色素の抜けた、茶色の髪の毛の子を見つけた。

 この高校の規則としては、髪を染めることは禁止されている。

「入学式に堂々と校則破るのかよ」と呆れた。

「起立」と言われても、その茶色の頭髪は立ち上がらない。気が付いてから動いたのは「退場」の声の時だった。