「そんな言ったって
私一人暮らしするんだよ?
こんなに広いと思わない
じゃん、一家全員住んで
も広いじゃん。」

そう遥に自分の意見を
述べる浅川瑠衣は
子どものように伏せのまま
手にしていた雑巾を
特に狙いを定めず投げた

瑠衣は田舎の高校から
東京の高校に転入する
ということで、今は亡き
おじさんが住んでいた家を
借りる形で住まわせて
もらう事にしたのだ

といってもそのおじさんとは
特に接点はなく、
家を探し始めて知った感じだ

―――私にこんな金持ち
のおじさんがいたなんて…