25年間も気持ちを抑えていた結果、ついに颯真はブチ切れた。
それも、25年目にして盛大にブチ切れた。
そしてブチ切れた結果、私は手首を縛られた。
手首を縛ったまま遠慮無く好き放題しやがって。
颯真は最後の最後まで手首のネクタイを解いてくれなかった。
「痛い」って言ったのに。
「外して」って言ったのに。
固く結んだネクタイは、決して弛められる事が無かった。
それはまるで、何があっても逃がさねぇぞ許さねぇぞと言っているかのようだった。
颯真ってば…
どんだけ恨みが深いんだ!!!
私への気持ちがそんなにストレスだったのか!?
これから先が末恐ろしいぞ!!!
そしてようやく颯真から解放されてぐったりしていると、やっと手首のネクタイを解いてくれた。
痺れてヒリつく手首を確認すると、
長時間縛られていたせいか手首は擦れて赤くなっている。
そんな私の手首を冷やす為に、せっせと持参した湿布を貼る颯真。
ヤイコラ颯真!
どんだけ用意が良いんだ!!
湿布まで用意しているなんて!!
まさか…最初から縛るつもりだったのか!?
だとしたら…本気で恐ろしい男だ!
手首にせっせと湿布を貼る颯真を見て、コイツは完全に優しさの使い方を間違っていると心から思った。
だけど、湿布を貼り終えて私の手首にキスを落とす颯真を見ていると、そんな私の怒りも半減して行くような気持ちになる。