そう…

だから決して何もしていない訳ではない。



「してたわよ!精一杯見つめていたわ!」



自分が出来る精一杯で好きな人を見つめていたわ。


それはただひたすらに見つめるだけだったけれど。


どうか伝わりますようにと眼力&念力を込めて見つめていただけだったけれど。



『何だよソレ…気持ち悪りぃな。5年もただひたすら見つめるだけなんてどんだけマゾだよ。大体なぁ、ソレが何もしてねえっつーんだよ。』


ちょっと…!!

気持ち悪くて悪かったわね!!!

安心しなさいよ!アンタの事なんざ見つめた事もないから!!!

見つめたいと思った事も無いから!!!



「しっ、仕方ないでしょ!私はまだ奥手なウブ子なの!」



25歳にもなってウブとかって自分で言っててもの凄く寒い気もするんだけれど…、

だけどそれもこれも事実なのだから仕方が無い。



『25歳でウブとかってマジでシャレんなってねぇぞ。どんだけ自分がカワイイんだよ。大体好きな奴がいたって相手に伝わらなきゃ意味がねぇだろ。』



そ、それはそうかもしれない…

そうかもしれないけれど…

私だっていつかは相手に気持ちが伝われば良いなと思っていた。

そしてこの気持ちをいつかは伝えようと思っていた。


いつか伝えよう、いつか告白しよう…。


そう思いながら精一杯見つめているうちに、私の恋は終わるのだ。