「同じ祖先ですって……」
紗衣くんと顔を見合わせる。
「じゃあ俺が吸血鬼になっても元に戻るだけだね」
「違う!全然違う!」
紫杏が騒いでるけれどあたしには紗衣くんの声しか耳に入って来なかった。
「運命だね、紅愛。俺達は最初から結ばれるって決まってたんだよ」
運命、なんて素敵な言葉……!
紗衣くんのセリフもまるで王子様のようだわ。
「……連れ戻しに来たのになんでこうなるんだろう!?……こんな事なら最初から不和一族は消しておけば良かったんだ。紅愛が悲しむからと変な気を回して空回りしてしまったよ…ふ、ふふ……、消そう、消してしまおう……」
「はあ?『消す』って舐めてんのか?小僧、この俺様が相手してやるよ!悪霊退散!エロイムエッサイム?」
なんだか物騒な話になっていたけれど、色々間違った言葉が聞こえてきたけれど、気にならない。
ええ、決して絶対何一つ……。
だって今から紗衣くんとデートなんだから。
「紅愛、こっちにおいでよ」
紗衣くんがあたしの手を引いて狭い懺悔室の中に二人で入る。


