「そばにいるって言っても……紫杏は弟じゃない」
「ここにもいたよ。変態……」
紗衣くんが顔をしかめた。
「リ、リドル家では、兄弟間の婚姻は、古い時代の話じゃない。そうやって血筋を守ってきたんだ!」
「やだーー、聞きました?奥様。嫌だわー兄弟で結婚ですって……ヒソヒソ、ヒソヒソ」
見ると神父が教会のシンボルのあの男に耳打ちしていた。
……それ奥様じゃないですから!
あなたの所も親族間の婚姻の宝庫ですから!
「デリカシーのない。……だから嫌なんだ。君達、不和一族は……。同じ祖先から受け継いだとされるその能力を異形封じに使う裏切り者ども……」
紫杏が何かぶつぶつと言い始めた。
あまり聞いていなかったのだけれど、一つだけ気になるフレーズ、
「同じ祖先……?」
「……!?」
しまった、というように紫杏は顔をこちらに向けた。
「あー……、なーんか聞いたことあっかも……、冗談かと思ってたけど、祖先は外国の化け物っつー話」
神父が頭を捻り考え込むような仕草をする。


