「君も何でこんな男に相談しようなんて馬鹿な事を考えたの」
紗依くんは呆れた瞳であたしを見た。
(だって知りたかったんだもの……)
「紗依くんの好きな食べ物……、聞いて、お弁当に入れようかと思って……」
「紅愛……えっと嬉しいんだけど、俺に聞けばいいのに」
紗依くんが本当に嬉しそうにあたしの手を握る。
「だって、内緒で作ってびっくりさせたかったのよ」
(ばれちゃった)
ふふと照れかくしに笑って紗依くんを見る。
「紗依の好きな食べ物ねぇー……あれだ。椎茸!」
ゴッ
「お前は話にナチュラルに入ってくるな。しかも、間違ってるし」
2度目の蹴りが飛ぶ。


