その場に残ったあたし達に長い沈黙が訪れた。
「……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………兄なんだ……。自分でも信じたくないんだけれど戸籍上でも。遺伝子学上でも……」
沈黙の後、紗依くんはようやくそう吐き出した。
よっぽど言いたくなかったんでしょうね。
「気持ち悪かっただろう?」
紗依くんは心配するようにあたしの両手をギュッと握った。
(確かに、気持ち悪かったけど……)
それより
(優しくしないで欲しい……)
どうして心配そうな表情であたしを見るのかしら……?
悲しくなってしまう。
「……さっさと殺すなり何なりしたら?」
泣きそうな顔を見られないようにプイッと横を向いて強がりを言う。
「…………君、殺されたいの?」
紗依くんは少し驚いたように聞いた。
(そんな訳ないでしょ!)
答える変わりにキッと睨んだ。
あたしと目が合うと紗依くんはクスッと笑って、
「殺しはしないけど……、『何なり』の部分は実行させてもらおうかな」
そう言うとあたしの手を強く引いて教会へ引き入れた。


