くれいじーらぶ◆ヴァンパイア少女に詰め寄る貧血少年



「逃がさねぇ〜よ。子猫ちゃん」



瞬間、頭にカッと血が昇る。
そして全身にブワッと鳥肌が広がった。


(子猫じゃないし!子猫じゃないし!!)


あんたになんか捕まりたくない!




(離してよ!バカ神父っ)


「離せよ!バカ神父っ」



あたしは何も言ってないわよ。思っただけ。


怒鳴り声は紗依くんのものだった。



「誰が手伝ってくれって言ったんだよ?子猫って何だよ!?キモいんだよ!引っ込んでろよ。バカキモ神父!」


捕まれたあたしの腕を素早く引っ張り神父から引き離すと、ご丁寧に神父に蹴りまで入れて追いやる。



紗依くんが神父から引き離してくれた事と、言いたい事を言ってくれたおかげで鳥肌はなんとかおさまった。




「ひでぇ…っ!兄ちゃんを蹴るなよ」


「帰れ…っ!」



(え?……兄ちゃ……?)



神父はうらめしげな表情でこちらを見ていたけれど、紗依くんの剣幕にようやく姿を消した。