「紅愛……!」
あたしの好きだった紗依くんの綺麗な瞳の黒目の部分がキュッと縮まった。
「泣いてるの?」
ショックを受けたような顔をしている。
あたしは泣いているらしい。
「ごめん、ちゃんと説明を……」
ドゴッ
紗依くんが何か言いかけると共に教会の扉が中から開いた。
それは紗依くんの頭を直撃して足元をふらつかせた。
「〜〜〜〜!痛いよ!馬鹿神父!」
後頭部を押さえながら紗依くんが睨み付ける先に一人の男がいたの。
「扉の開閉に腕力は必要ないって何度言えば解るんだろうね?腕力馬鹿の頭には助言の入る隙間はないのかな?」
あたしが言われたらしばらく立ち直れなさそうな嫌味を浴びせられた男の人は一言、
「いや〜わりぃわりぃ」
かるーく返して笑っていた。


