そしてあたしの中に意地悪な感情が芽生える。 「紗依くんて……意外と嫉妬深いのね? いつも余裕ぶっているのに……必死じゃない」 つい口から出てしまった相手を馬鹿にするような言葉。 初めて会った時から紗依くんは常に落ち着いていて、余裕たっぷりで、王子様みたいだった。 振り回されるあたしは少し悔しかった。 でも嫌じゃなかった。 意地悪な言葉はあたしを信用して欲しい気持ちの裏返し。 いつもみたいに自信持って男の子を振って戻るあたしを待っていれば良かったのに……。