すると、 スッと あたしのお弁当の袋が宙に浮かんだの。 「紅愛、おいで」 それは紗衣くんの手に収まり、ついでにあたしも引き寄せられた。 紗衣くんは異臭を放つお弁当を持ちながら、 それはそれは優雅に、 あたしを中庭にエスコートした。 人気の少ない中庭で紗衣くんに促されるままベンチに座ったあたしだけれど、しばらく教室での緊張と脱出できた安堵感でぼぉっとしていた。