仰向けのあたしの頭の方からのんびりした声。 見ると保健室の紫杏(シアン)先生がカーテンの隙間からニコニコ笑いながらあたし達を見ている。 「……きゃ……!紫…、先生!」 「……チッ」 取り乱すあたしとは逆に紗衣くんは軽く舌打ちしてゆっくり起き上がった。 紫杏先生は笑顔を崩さず 「お帰りはあちら」 ドアを指し示す先生と紗衣くんの間に、ピリッとした空気の亀裂が見えたのはあたしの思い過ごしじゃないはず……。