渋谷の街中は、夜八時を過ぎても人混みが衰えたりしない。むしろ賑わってくる時間だ。 スクランブル交差点を全力疾走する。 通行人は迷惑そうな顔をするけど、相手が警官だと納得したように道を開けた。 「おい! ゼン!」 「車はどこだ?」 「宮下パーキング!」 「オッケー。そこまで、このまま走れ」 「はあ? まじかよ!」