「上海蟹って、うまいんだな」 「だろ?」 ゼンは甲羅を器にして紹興酒を飲む。カニみそと紹興酒のコンビって、オヤジっぽいけど贅沢だ。 「藍莉、何たくらんでるんだろうな?」 「あの子、俺より淳一のことが好きだろ? つまんねーの」 ゼンは目を細めて俺を見た。バックに広がる夜景がよく似合っている。 「んな! 本気で好きなわけないだろ! 俺には李花がいるし」 「どーかなぁ、けっこう本気なんじゃね。あーあ、俺のフィアンセちゃんたぶらかされちゃった。酷いと思わない? ユカリ」