──静かに瞑想をしていたキャステルの元に魔王の幻影が現れる。

 威圧的な影に臆することもなく瞼を上げ、それをしっかりと見据えた。

「お初にお目にかかるな、魔界の王よ」

<おまえが人間界のリーダーと見たが、相違ないか>

「さあ、どうでしょうね。全ての情報が私の下に寄せられてはいますが」

 キャステルの物言いに鼻で笑う。

<食えない奴だな、まあいい。そろそろ総攻撃をしかけさせてもらう>

「あなた自ら出撃なさいますか。デイトリアスは諦めたのですか?」

 その言葉に魔王の眉がやや反応を見せた。

<人間界が落ちれば我が元に来ざるを得ない>

「彼は一人でも戦いますよ。それはあなたが一番よく知っているのでは?」

 感情を探るようにゆっくりと紡いだ。