──魔界

「それでのこのこと戻って来たのか?」

「申し訳ありません。まさかあそこまでの力を持っていたとは」

 マリレーヌは玉座に腰掛けるガデスの前にひざまずき、悔しげに応えた。

 しかし、ガデスはそんなマリレーヌに冷たい視線を落とす。

「油断するなと言わなかったか。人間界が欲しいんだろう?」

「お言葉ですが──」

 見ていられなくなったギルが横から割って入る。

 それは同情心や優しさというものではなく、上位である自分たちに元人間が居丈高(いたけだか)に口を開くことに苛立ちを感じただけだ。