「あの、赤沼くん」 「……」 壱子を姫抱きして歩いてると、壱子が小さく俺を呼ぶ 初期の呼び名で だから、俺は無視 「赤沼くんってば」 「……」 違う その呼び名じゃない 「…双葉くん…」 「…何?」 やっと呼ばれた呼び名に、返事を返す すると、壱子は足を少しバタつかせ 「お、下ろして…恥ずかしい…」 壱子は、そう申し出てきた 放課後になったとはいえ、校舎内にはまだ生徒が残っている そんな中で、この姿は恥ずかしいのだろう でも… 「やだ」 俺は、即答した