記憶の桜 -栄枯幻世-




「それから私は寂しさ、哀しみ、憎しみに囚われ、長州浪士を斬り殺す『花散り鬼』になりました」



私の話を聞いた彼らは、動揺を隠せずにいた。



「辛い思いをしたな」



近藤さんはまるで、自分の事のように哀しんでいる。



「この2年間、どうやって暮らしてたの?」



「剣舞や日舞を店で踊りながらお金を稼いで、旅籠を転々と…」



沖田さんはそれが疑問だったららしく、私が話すと納得したように頷いてくれた。


店で剣舞と日舞を踊るのは、両方大好きだったから良かった。



でも、親子や家族連れを見ると、どうしても家族の事を思い出してしまい、哀しくなってしまう。