記憶の桜 -栄枯幻世-



接待当日。




私は女物の着物を着て、踊りを舞った。




伊東さんは近藤さんからお酌を受けながら、私の踊りを見ている。




踊り終えると、彼は大きな拍手をしてくれた。




「素晴らしいわ!噂通りの品の良さね!」




「ありがとうございます」




私はにっこりと笑うと、伊東さんの横に座った。




「どうぞ、お1つ」




「あら、ありがとう」




彼の猪口にお酒を注ぐ。





これで私も暗殺に手を貸した1人になった。




それから数刻後。




べろんべろんに酔っ払った伊東は油小路にて、あっさりと暗殺されてしまった。