記憶の桜 -栄枯幻世-



島原に入って5年。




私は人気芸妓、『白百合』になっていた。




そんなある日。




私を指名した長州浪士がいた。




「白百合、お前は憎い相手がいるのか?」




「おりまへん」




男はにやりと笑い、私の顎を掴んで来る。




「いいや、いるな」




何、この見透かされてるみたいな目…。




もし、5年前に感じた想いが憎しみだとしたら…。




「いるわ…。憎くてしょうがない奴が…」




実の両親でも養父母でもない…。




それ以上に憎い奴がいる。