記憶の桜 -栄枯幻世-



「今夜はもう寝ろ」




土方さんは辛そうに顔を歪め、私に寝るよう促した。




疲れたし、何よりも今夜見た光景を早々に忘れたい。




その思いからか、私は布団に横になった。



「ゆっくり休めよ…」




そう言うと、彼は部屋から出て行こうとする。




私はそんな土方さんの服を咄嗟に掴んだ。



「何だ?」




「行かないで…。独りは嫌…」




独りは平気なはずなのに、何故か、今夜は独りでいるのが嫌だ。