記憶の桜 -栄枯幻世-



彼は手拭いを取ると、濡れた私の髪を乾かしてくれる。




「私よりも土方さんが先に…」




「良いから、大人しくしてろ」




土方さんの方が濡れてるのに…。




逆らう気にもなれず、私は大人しく髪を拭いてもらった。




「ほら、乾いたぞ」




髪を触ってみると、髪はしっかり乾いていた。




「ありがとうございます…」




「ああ…」




沈黙が流れる―。




しかし、この沈黙を破ったのは、彼の方だった。