記憶の桜 -栄枯幻世-




早く此処から立ち去りたい―。




私は土方さんの服を掴んだ。




彼は私の気持ちを感じ取ってくれたらしく、早々に前川邸に戻った。




玄関の所には近藤さんが立っていた。




「ご苦労だった、トシ…。葛葉君っ!?」




「近藤さん…。こいつをまず寝かせてやりたい…」




「あ、ああ。分かった」




土方さんはわらじを脱ぐと、私の部屋へと向かう。