記憶の桜 -栄枯幻世-

【涼】


「う…、んっ…」



私は目を覚ますと、身体を起こす。



此処は私の部屋だ。



「芹沢さん…っ」



寝ていた経緯を思い出し、部屋を飛び出した。



「玄関まで走っている場合じゃない…」



私は着物の裾を持ち上げ、足袋のまま水溜まりが出来た庭に飛び出し、芹沢さんのいる八木邸に走った。