『ケビンッ、ケビンッ、たす、助けて!』
しわがれた女性の声が響いた。
ミナナにとっては誰だか分からなかったが。
「か、母さん……」
絞り出すように右の男が呟いた。体全体を使って動揺しているよう。
「き、貴様、母さんに何を……!」
『おとうさんっ、こわいよー!おとうさん、うわあああん!』
右の男が激昂する前に、彼のケータイからは別の声。今度は、小さな女の子だ。
「メイ、メイ……。む、娘をど、どうして!」
今度は左の男が震えていた。ミナナに向けられた銃が、右の男同様に彼に向く。
動きだけは制止したが、彼のケータイからはその後もいくつかの声、『助けて』という叫びが出てきた。
母、娘。妻、父。姉、息子、恩師、叔母。男たちにとっては、どれも覚えある声で。


