片手しか使えないなのでこの時点で、ケータイを出す代わりに彼は銃をしまうが、男たちにとってはやめろと言ってしまう。
「人質がどうなってもいいのか!」
「愛する者ができるだろう。命をかけて守りたい者ができるだろう。その人のために涙し、笑い、幸せをと願い、また自分も幸せを実感するだろう」
「この!」
左の男がミナナを殴った。
痺れを切らした前兆だろうが――男たちが固まったのは、彼がこちらを睨んだから。
凄みというよりは、冷徹であった。死神のように静かなる鋭利たる殺意。
彼の親指が通話を押したところで。
「それは、“誰だって例外ではない”」
ハンズフリーにしたか、コール音がこちらにまで聞こえた。
無機質な音。そうして、ぷつんと途切れて。


