痛覚がないわけではない。涼しい顔ながらも、彼の息は荒くて、汗が出ていた。
なのに、さも当然のように自分を捨てるのだ。
全てはミナナのため。
『ミナナのためなら苦じゃない』
いつかのセリフが、形を持って出てきたようだった。
「右足」
「やめてっ」
産声に似た悲鳴は、ミナナらしくはなかった。だが、彼女自身なりふり構ってはいられない。
「やめてくださいっ、やったら嫌いになりますから!」
ちんけなセリフに思えたが、彼の狂気沙汰を止めるにはこれしか思い付かなかった。
「君を一番安全に救うためだよ」
「やだっ、や、だ……!」
駄々をこねるような形になった。理由は出てこず、ただそうしなさいと訴えるよう。


