「……、いえ、見ていません」 「本当か」 「はい」 「……」 「……」 「ちっ、どこ行ったんだか、あいつは……。ああ、わりいな。足止めさせちまって」 軽く手をあげて、男は踵を返した。 背中が向けられ、後ろから撃てるだろうと思えば。 「弾の無駄使いは、したかねえだろ」 振り向きもしない言葉に、鳥肌が立った。 「……、化け物」 正直な感想を一つ。男が視界から消えるまで、ミナナは動けなかった。