傘なんてなかったために、雨に身を打たれた。
冷たさと重みが頭から足先に広がっていく。
吐く息は白くないが、体温が一気に10度は下がったかのような錯覚を得た。
――殺してしまった。
夢のことばかりを考える。
進む足取りは平均感覚がズレたようで今にも転びそうだ。
存在は気薄。幽霊に近いものがあった。
実際に生きた心地はしないだろう。
――ミナナ。
彼女に会うまでは。
いつもそうだった。カルツの世界は彼女以外が張りぼてに見える。
汚い創作。害悪ばかりがいる一枚絵。
そこに華やかさなんかないし、またそんなとこにいる自身も綺麗なものじゃなかった。
初めて芽生えた愛しているの感情。
居心地が良かった。幸せなんだ、世界が反転して、自分でも綺麗な場所にいられると感動さえ覚えたのだ。


