気づいた時――カルツの指はその声帯を圧迫していた。
「……ぁ」
やっと聞こえなくなった嫌いの言葉。そこを発する器官は呼吸もろとも機能していない。
指先から一気に力が抜け、ごとりと何とも重たい音が頭からした。
――死ん、
死んだ。
「――」
形容しがたい想いの奔流に呑み込まれた。
自分が自分ではないような。泣き叫ぶ一歩手前で――カルツは産まれる瞬間のような息をして、夢から覚める。
辺りは暗く、雨が降っているのを耳で感じた。
「……」
ひどい夢だと思うのには、時間がかかり、カルツはやっとライフルのスコープを覗き見た。
廃ビルから見えるベストスポット。スコープの中には、彼女が寝ているのが見えた。


