【雨と共に流れれば】
生まれつき、物音には敏感だった。
「こんな夜中になんですか」
入り口に彼がいる。
外は雨だったせいか、全身ずぶ濡れで、見るも重そうな佇まい。
「……?」
雰囲気が違うのを肌で感じた。
濡れた前髪で目は隠れ、顔色は窺えない。
名前を呼ぼうとすれば、無言でこちらに近づき、ミナナに抱きついてきた。
ベッドが軋む。
――明日は晴れかな。
彼のせいで濡れた布団を干す計画を練る一方、ただ彼はミナナを包容した。
それだけ。
黙って、濡れた冷たい体で、離してくれなかった。
――なぁに、へこんでんだ。
叱られた子供みたいと、濡れた頭に手を置く。


