「猫に引っ掻かれたみたいですね」 示された傷を答える。 先ほどのあれだろうと予測するほど、自分の腕についた傷に彼に言われて改めて気づいた。 「あの猫が?」 「ええ。ああ、別に痛くないですよ」 否定を手を振ってしてみたが、彼はその手を取り、傷口に舌を伸ばした。 「ごめんね」 「……」 そう言って彼は離れていく。 中途半端に火照った体が一気に冷めた。部屋に戻れば、彼はいなく、猫も見当たらない。 「何を考えているのだか」 それは今更すぎることだろうと考えるのはやめた。