当たり前のように後ろにいる彼にはそうも言いたくなる。
けろりとした顔は。
「俺はミナナを洗いたい」
「はいはい、私は汚いというわけですね」
「誤解だよ。ただのいちゃいちゃ、愛情表現。隅から隅まで洗ってあげるから」
ぴしゃりと磨りガラスの扉を閉めた。
ズボンの裾を捲り、シャワーを流す。
「こらこら、暴れない」
猫は水が苦手というが、そうらしく、バタバタと手足が腕を引っ掻いてきた。
「まったく……」
諦めた。
タオルを濡らして、それで拭くことにする。
妥協案には乗ってくれたか、猫は大人しくなった。
一通りふき終わり。
「ミナナー、お待たせ」
何故か服を脱いだ彼が扉を開けて入ってきた。
――風呂場に鍵をつけるべきなのか、これは。
磨りガラス扉にはどうあっても鍵はつけられないだろう。ミナナにしては無駄な思考だった。


