それを補うように、彼はミナナに抱きつく腕に力を込めた。
「害悪はバカばかりだ」
「否定はしませんよ」
こんな職業をやっているからか、経験済みの理論だった。
殺せと依頼し、遂行したのに金を払わない。悪い奴になると、お前が殺したことをバラされたくなければ、金を払えと言う輩だっていた。
――何を考えているんだか。
殺人犯とは、殺しができる奴をさすのだ。
そんな奴との契約を破り、脅すとなればただじゃすまないのは明白。
だというのに、そんなことをする輩が後先尽きないとなると、人間とは自己満足に走る馬鹿ばかりと思いたくなる。
利己的に生きれば、少しは長生きできるだろうに。


