濡れているのは当たり前。涙かどうかなどはっきりはしないが、しばらくは乾くこともないだろう。長続きしそうな雨が降り続ける間は。
「思い出すね」
「……」
「初めて会った時も、こんなだった」
「あの時は、“逆”でしたけどね」
雨足も同じほど。
静寂たる騒音の中で、血に伏す女と立ち尽くす男。
二人の記憶に残る一枚絵だが、ミナナにとっては死の瀬戸際にいたために、ビニール傘の向こう景色のようにぼやけていた。
彼にとっては、今も鮮明たる記憶だが。
再編に近い今の時に彼は浸ろうとしたが、ふいに彼女が腕を持った。
傷があるため顔を歪ませるも、知ってか知らずかミナナは彼を立たせようとまた引っ張る。


