更に言えば、血を流していた。
全身濡れているため、赤が無色と混じり、広がり、いったいどこが負傷しているのか分からなかった。もしくは至る箇所に傷があるのかもしれない。
放置された傷は雨で乾くこともなく、液体に液体を塗りたくり、アスファルトに零れていく。
ここまで流れると作り物に見えた。赤インクを流しているよう。
匂いに関しても、雨の湿った匂いのせいであまり感じられないが。水に濡れた錆の匂いが時折、鼻を通るなり、ああ本物なんだと感じた。
暗い街の裏路地。
彼は誰かと助けも呼ばず、ミナナが来るまでまるで死人のように“捨てられていた”。
「死ぬんですか」
持っていた傘を自分が濡れることお構い無しで、壁に背もたれ座る彼にかざした。


